2010年10月9日土曜日

ベリーダンスの“ホアキン・コルテス”・シャキーラ


ベリーダンスが、ちょっとうさんくさい淫靡な踊りから、おしゃれでヒップなワールドダンスに変身したのは、もちろん、シャキーラのおかげである。

シャキーラは言わずと知れた、ビヨンセと並ぶ現代のスーパースター歌手である。実は自分で習い始めるまで、私はシャキーラの踊り(歌の振り)をベリーダンスだとはあまり意識していなかった。習い始めて一ヶ月ぐらいで、たまたま彼女のビデオを見たとき「ああっ、この人はベリーダンスの基本を全部持ってる!しかも、けっこううまい」とやっと気付いた次第である。

これは、ホアキン・コルテスを何の予備知識もなく観てファンになった人が、後で「あ~、フラメンコだったの」と気が付くのと似てるかも知れない。

ホアキンと言えばデザイナー仕様の衣裳(もしくは上半身裸)、アップビートの音楽に洗練された振付。伝統的なフラメンコのイメージと繋がらないのも無理もない。けれど彼は決して“まがい物”ではなかった。ホアキンはフラメンコ一家に育ち、きちんとした基礎を備えながらフラメンコの新しい形を提唱し、スーパースターとなった。90年代半ばには、彼に憧れてフラメンコのフの字も知らず習い始めた人が大勢いた。これは現在のフラメンコの発展に大きく貢献したのだ。

同様にシャキーラも、レバノン系の父(母はスペインとイタリア系。出身はコロンビア)の影響から幼くしてベリーダンスを習い始め、プロの歌い手として活動し始めてからもその舞踊を表現の一部としてきた。そして独特のフレッシュな感性でベリーダンス人口を一気に増やしたのだ。

悩ましい動きに、ときおり男まさりのロッカー風マイク・アクションが加わる。衣装もエスニックでセクシーなトップにミスマッチの革のパンツと、コテコテになりがちなところでサラリとかわす。もちろん歌い手さんだから舞踊として踊るわけではないけれど、私は彼女のあの、挑発的でありながら爽やかな色気に、ベリーダンスの新しい風を感じてしまうのだ。

そしてシャキーラは、ベリー・ファッションを普段着にも取り入れたい人最大のファッション・アイコンでもある。

彼女はさりげなく、かつお洒落に、ベリー・ファッションでストリートを闊歩する。
これって、やってみたらわかるけど、すごく難しいんだぞ。


ホアキン・コルテス(下)。